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2023.12.5
産経新聞 より
介護施設の職員による高齢者への虐待は近年急増し、刑事事件に発展するケースも後を絶たない。人手不足による負担増や職員同士のコミュニケーション不足が背景にあるとされ、国は虐待を未然に防ぐ取り組みを進めている。
厚生労働省の調査によると、介護職員らによる虐待事案は令和3年度、739件で過去最悪を更新。統計を取り始めた平成18年度(54件)の13倍超にまで増えた。
要因としては「教育・知識・介護技術などの問題」が最も多く、職員のストレスや虐待を助長する組織風土などが続いた。同省の担当者は「人手不足も要因だが、職場での助け合いが構築されておらず、職員が1人でストレスを抱え込み、虐待につながっている可能性がある」とみる。
死亡事件に発展するケースも多く、東京都足立区の高齢者施設で今年8月、利用男性を殴って死亡させたとして、施設職員が傷害致死容疑で逮捕。岐阜県高山市の介護施設で平成29年、入所女性2人に暴行し死傷させたなどとして元職員が逮捕されるなどしている。
急増する虐待行為に歯止めをかけるため、国も対策に乗り出している。同省は令和3年4月に介護サービス事業者が順守すべき基準を定めた省令を改正。虐待を防ぐ指針の整備や、年2回以上の研修開催などを盛り込んだ。来年4月以降は基準の順守が義務付けられ、従わない事業者は行政指導の対象となる。